北京蝶々「パラリンピックレコード」
ここ、三軒茶屋のシアタートラムに来るのは、散歩道楽2010春『かいぶつのこども』以来、ちょうど1年ぶりかな。去年12月の北京蝶々の前回本公演(?)と同じく、義足のアスリートがストーリーの中心。夜の部を鑑賞。
前回作は「愛」とか、それにまつわる云々を見事に描きあげたものでしたが、今作もそうでした。上演期間中は、ちょうど東京都知事選挙の真っ最中だったわけですが、本物の知事であるあのオッサンの子孫がこの芝居の中の都知事という設定で、車いすで頭髪は寂しげ、でも、さすが声優さん(?)、声はあのオッサンを彷彿とさせるものでした。
東京都というかあのオッサンが条例で、やれ非実在なんちゃらの規制に躍起だったわけですが、その条例が施行されてしまっていて、そして「東京パラリンピック」が迫った時代が舞台。規制に必死な警察と、闇でその手の作品をやり取りする人々と、そしてパラリンピックの選手のそれぞれが熱く描かれていました。芝居のフライヤーから察した印象では、あのオッサンに対する政治風刺かなと思ったのですが、その根底にある、人間に欠かせないものが深く描かれていたと思います。警官の1人を演じた岡安慶子が、3枚目なノリで、体のある部分を強調し、そして同僚の男性警官も、別のある部分を手でおさえ…。規制する立場の人も、結局は、人間として、こういうものから逃れられないことを実感したのでした。
人間、というか動物の本能の奥深いところを、表面的に規制したって、結果として別のところがゆがんでしまう、そんな、次の世代に向けてのメッセージを感じました。