令和3年度第2回工事担任者試験 第1級デジタル通信
先日、11月28日に、表題の試験を受験した。
このブログで綴っているように、筆者は2005年以前の旧制度の工事担任者の最高資格「アナログ・デジタル総合種」を同年に取得済みである。旧資格を駆け込みで取得したつもりではなく、たまたま自分の取得タイミングと制度変更が被ったわけなのですけど。
さて、この旧制度上の総合種は現在でも有効であり、しかも現行制度の最高資格である「総合通信」と、できることは変わらないので、筆者は別に現行制度の資格は取らなくたって事足りる。にもかかわらず、筆者が受験しようと考えた理由は、なぜか?
ここで申し添えると、旧制度上の総合種を持っている人は、現制度の「第1級デジタル通信」に合格すれば、「第1級デジタル通信」と「総合通信」のうち好きなほうの免状を取得可能であり、しかも3科目中の1つ「端末設備の接続のための技術及び理論」(以下「技術」と略す)を受験すればよい。この技術の科目の内容が、筆者がこれから身につけたい内容をいくらか包含しているようなので、自己啓発の機会と考えて受験を決めたのである。平たく言えば、情報処理系の資格を目指すための肩慣らしというわけですが…。
というわけで、以下では、本日公式に発表された解答を踏まえ、技術科目の問題について軽く講評する。
第1問:アイウエオ=5 2 3 3 2
- (ア)の解説💡
- IEEE 802.3avとして標準化されたのは10G-EPON。知らないと解答不能。
みんなおなじみGE-PONはIEEE 802.3ahで、最大1Gbpsなので不正解。 - 《参考》
- https://www.ntt.co.jp/journal/0508/files/jn200508071.pdf
なお今回の総合通信ではITU-T G.984として標準化されたG-PONが問われた。
第2問:アイウエオ=5 3 1 4 3
- (エ)の解説💡
- この選択肢におけるPLCとはPacket Loss Concealmentのこと。
Power Line Communicationのことしか知らなくて「でたらめな選択肢」だと思い込んだ筆者は、見事に引っかかった。(そっちの意味のPLCは、令和3年度第1回総合通信の第2問で出題されている。) - 《参考》
- VoIPの仕組み│VoIPのメリットと企業が導入すべき電話ツールとは | ナイセンテレワーク
- Packet loss concealment - Wikipedia
- (オ)の解説💡
- 令和2年度の第2回第1級デジタル通信(当時はDD第1種)第2問や、令和元年度の第2回総合通信(当時はAI・DD総合種)第4問で出題済なので、教科書がなくても過去問をやっていれば取れる問題。
第3問:アイウエオ=4 1 2 4 2
- (ア)の解説💡
- TCP SYNスキャンは、単にSYNスキャンともいい、TCPスキャンとは異なる。つまり、TCPスキャンでなくてSYNスキャンのことを説明した選択肢を選ぶこと。
- (ウ)の解説💡
- パケットフィルタリングは、ポート番号やアドレス、通信プロトコル等で通過させるか否かを判定する仕組みであり、パケットの改ざんを検出するためのものではない。もしパケットが改ざんされていた場合、その改ざんされた内容に基づいてパケットフィルタリングの動作が決定されてしまい、改ざんそのものが検出できるわけではない。
なお「サニタイジング」とは、令和元年度第2回の第1級デジタル通信の第3問での選択肢にある「スクリプトとして動作する元となる文字を別の文字列に変換し、入力データに含まれるHTMLタグなどを無効化する処理」である。
第4問:アイウエオ=3 1 2 3 2
- (イ)の解説💡
- 「支柱のねじ要素」が正解だが、平成31年度第1回総合通信(当時はAI・DD総合種)の第4問で、まったく同じ問題が出ているので、総合通信の過去問もチェックすべしという例である。
第5問:アイウエオ=4 2 1 2 4
- (ア)の解説💡
- MPOコネクタ以外は単心のファイバ用である。特にFAコネクタやFASコネクタは、よく出題されるので、イメージを把握しておくべき。
なお、MTコネクタとMPOコネクタは、令和3年度第1回の総合通信の第9問の選択肢に登場している。 - (ウ)の解説💡
- ここでいう”STP”とは、令和2年度の第2回の第1級デジタル通信(当時はDD第1種)第5問で出題された正解選択肢と同じく、Spanning Tree Protocolのことであり、平成31年度の第1回総合通信(当時はAI・DD総合種)の第9問で問われた「STPケーブル」(Shielded Twisted Pair)とは別物。
- (エ)の解説💡
- パレート図は令和2年度第2回の第1級デジタル通信(当時はDD第1種)第5問や、令和3年度第1回の総合通信の第10問で出題されている。
- (オ)の解説💡
- これまでの工事担任者試験では、「フリーフロート」と「トータルフロート」は区別できていなくてもなんとなく解答できる感じの問題ばかりだったのに対し、今回はその区別が問われたことが、新傾向といえる。
作業Aのあとに作業Bがある、つまりA→Bとした場合、- フリーフロート:Bの開始予定を遅らせないための、Aの許容遅れ日数(全体の工期にも影響を及ぼさない)
- トータルフロート:Bの開始予定を遅らせてもよいが、全体の工期には影響を及ぼさないための、Aの許容遅れ日数
なので、2つのフロートの数値は等しいか、もしくなトータルフロートのほうが「甘い」(大きな値になり得る) 。
また、クリティカルパス上の各作業のフリーフロート、トータルフロートは、いずれもゼロである。1日でも狂うと、全体の工期に影響するのがクリティカルパスであるから。
以上、念のため主催者発表の解答と照らしあわせの上、ご利用ください。
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