COoMOoNO『-かさない-』
部屋みたいな空間で、観客も靴を脱いでの観劇。約75分。
日本語による現代劇だけど、夫が戦地に赴いているという設定で、小角まやさん演じる残された妻「公子」の頭の中に時折浮かぶ形で登場。公子がソファーで寝たり、着替えたりする仕草が、シンプルで美しく洗練されている。公子の誕生日を祝う鍋パーティーのシーン、訪れた友人による会話シーンも、見せどころ。
部屋の主である公子が、電気を消して出かけるとすると、ほんとうに電気が消えて、ほぼ真っ暗。間接照明や音響は、オペレータさんがコントロールしているけど、けっこうリアリティのある居住空間を演出。そのオペレータさんも、ブースのような居場所がなくて、桟敷に黒子っぽく陣取っていて、しばらくの間、役者なのかなと思っていた筆者。
詳しい話の流れ方については割愛するけど、人の寿命はこうしているうちにも刻々と縮まっているし、いつでも近くにいるような人にも、今度いつ会えるかなんていう保証はなくて、想いを伝えるのは、その想っているときに言わなきゃ、いつ言うの?今でしょ?的なことが、観終わっての感想。
松浦亜弥の楽曲「想いあふれて」を下敷きにしたということを聞いていたのだけど、まさに、ひとりきりで、だれか大切な人を待つ女性が描かれていた。夫は帰ってこないかもしれないけど、それでも待つ的な心理。あるいは、男性の気持ちに気づいてはいるけど、女性的にはちゃんと気持ちを打ち明けてほしい的な心理。この曲そのものは劇中では使われてなかったし、原作的な位置づけでもなく、ストーリーはあくまでオリジナル。終演後、アンケートを書いている最中に、客出しBGMで流れてきたわけだけど。文字通り、想いが、あふれる。