愛・王子博
「愛・地球博」の本会場には行けなかったこともあり、6年のブランクを経てこの「愛・王子博」を鑑賞。(いや、関係ないって)会場は、すっかりおなじみになった東京都の北区を代表するランドマーク、王子小劇場。
普通なら地上の入口で受付なんですが、この公演では地上には案内係が1人いるだけで、受付は地下のロビーに配備。そこで整理番号をもらって、特に説明がなかったので地上に上がって開場時刻を待っていたのですが、定刻になっても一切呼び込みがない。地下に下りていく人はいるけど、受付をすませてここ地上で待たされるものかと思っていて、なのに、人が上がってこないので、よくよく聞いたらもう入っていいらしく、すでに後から受付してそのまま入った客が、あまたと入っていました。ちゃんと地下で待ってるように言えよ!地下の受付にそう注意したけど、後の祭り。地上の案内係も、いったい何のためにいたのでしょうか。
で、着席位置を迷った挙げ句、最前上手側を確保。開演直前、最前の客にマスクが渡され、指示されたタイミングで着用するよう指示あり。特効の小麦粉対策でした。
さてさて、本番開始。見たい場面が遠くになってしまうことを恨めしく思ったりもしましたが、逆にこの斜めな角度だからこそ見えたものがあったりもしました。立体的なスペクタクルとでもいうのでしょうか。あと、当日パンフに各キャストの役どころが書いてはありますが、おおむね1人2、3役くらいを兼務されてた感じでした。
感想をまとめると…。賛否両論のある作品だと思います。が、内容のモラルとか、描写の極端さ云々はともかくとして、描いているものは人間としてのいろんな当たり前であり、その封印が舞台の上で解かれていったという感じ。ある意味、事件たちです。中身は、我々ひとりひとりの中にあるものです。内容も演出も、その人間臭さに胸がすく思いがしました。時事ネタまで込めたのは、貪欲。
この犬と串という団体、王子小劇場という開場、そして、観客の三位一体が成立しないと、このような公演は成立しなかったかもしれません。まさに、オンリーワンな博覧会でした。千穐楽しか見られなかったことが、素直に悔しいです。
犬と串とは、学生団体、というよりむしろ、学校を拠点に活動する団体とのことですが、環境面でも創作性・芸術性・エンタテインメント性でも、非常に恵まれているようで、うらやましく思えました。ただし、チケット代の収入だけだと赤字と正直に言っていたことと、なんといってもこの作品に敬意を表したいので、台本を1冊購入しました。丁寧にファイル綴じされています。
すさまじい姿をした男性役者陣とともにステージに立った、3人の女性役者陣がそれぞれ、舞台上(あるいは袖とか楽屋とか)から、いったい何を感じたか、できることならインタビューをしてみたいとも思いました。そんな、愛・王子博でした。