こちらは職人、ただいま交信中!

いきていく物語です。

気が向いたときに、思ってることを書いていきます。
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主に鉄道と飛行機を利用する旅人です。
2008年にoneworld Sapphire、2016年にStar Alliance Goldのステイタスを取得。これらを有効に活用した空の旅についても発信していきます。
日本国内の無線従事者資格や、関連資格の多くを取得しており、その受験記も蓄積しています。
内容には誤りがないよう努めますが、誤りがないことの保証はいたしかねます。

航空無線通信士受験記

はじめに

いざ出陣の日である。電波法上の資格の航空無線通信士の国家試験の日だ。勝どき駅からは前を見なくても到達できるほどにおなじみになってしまった、日本無線協会本部のある江間忠ビルを目指し、ちょうど無線工学の試験中の到着となったが、すんげえ受験生の数。当然、無線工学の試験を終えて途中退出した人か、もしくは小生のような工学免除組かのどちらかになるのだが、今までこんなごった返すような人を江間忠ビルで見たことがない。受験生もセーガクさんっぽい若者が多く、おそらく航空業界をこれから目指そうとしてる人が多いのだろう。と同時に、今の日本の縮図を見た気がする。これは通信業界と航空業界との、勢いの差をそのまま表してるのだと考えている。小生は前者に属する人間であるが、今日の主役は後者であり、ここで異業界の小生はひとつ「社会勉強」をしてしまったことになる。受験票を見ていると、電気通信術の免除者が多い。やはり航空業界の受験生は、あらかじめ航空特殊無線技士を取得してから航空無線通信士を受験するケースが多いようだ。逆に工学の免除者は、小生の同業者なのだろう。

法規

さて、法規の試験は11時10分から始まるが、工学の終了時刻が11時ちょうどであり、かなりぎりぎりに試験時間が組まれている。免除科目ごとに試験室が分かれているのではないようで、この10分の間に席に着きスタンバイ。ここではもう、ノートとかを見てる時間はない。きのう最終稿として仕上げたはずのノートに、けさ車中でミスを発見していてよかった。「こちらは」はふつう言いません。いつものような前説や問題用紙配布。マークシートは説明が始まる前から名前や受験番号を記入しておく。試験開始。試験の内容は、今までの勉強内容の集大成であった。ほとんどが、今まで必死こいて作ったノートの中身からの出題。もちろん、記憶があやふやでうろ覚えな箇所もあったが、ベストスコアを確信。航空無線通信士の操作範囲なんて、たとえ過去問として見たことがなくても、受験生なら知っていて当然の問題。実質的な解答に12分くらい、マークに20分、あとは見直しをし、途中退出時刻の11時55分にすがすがしく退出。これで、半分は終わったに等しい。晴海トリトンでカレーを食したが、今まで何度か行った中でいちばんにぎわっていたのが印象的だ。1階のフードコート、席を確保するのにひと苦労。

英語

午後の試験は、まず英語から。その中でも「英会話」なる聞き取りテスト、去る6月25日に受験した第1級海上特殊無線技士(id:shocknin:20050625#p2)と同じ方式の試験であり、5問が7問に増える点が異なる。が、それより、最も勝手が異なるのは、そのあとの英語の(ペーパーテストの)試験とマークシートがいっしょであり、マークの記入にペーパーテストの時間を充当できるため、英会話の時間にかなり余裕があることだ。問題用紙は英会話とペーパーテストのが同時に配布され、他の科目同様印刷不良や乱丁がないかどうかのチェックの指示があったが、そのあと再び裏返すような指示がなかったため、おもいっきり英会話の問題を「先読み」することができた。結果、7問中6問はかなり自信あり。もっとも、1海特のときは耳の調子が悪かったわけであるが、それより上述のような勝手の違いが大きい。もっとも、相変わらずカセットのひなびた音だったので、高音が厳しかったが。6問目だけはっきり聞き取れず選択肢を1つに絞れなかったが、安全圏を確信。13時半に英会話が始まり、13時46分ごろに英会話が終了しペーパーテストになだれ込み。ここから1時間半、ペーパーテストに与えられた時間であるが、英会話のマークもこの時間にすることができる。ペーパーテストのほうも、1問迷った問題があったが、安全圏だ。途中退出時刻の14時半過ぎにすがすがしく退出。

電気通信術(受話)

15時40分より、まず受話の試験。最初になぜかマークシートが配られるが、受験番号や名前だけを記入するものであり、たぶんアリバイ証明の意味なのだろう。そのあと配られた解答用紙はおなじみのB5の受信用紙。資源の無駄遣いに思えるのだが。受信用紙の資格欄には「航空」と記入。おなじみの試験官のおじさんが前説をするのだが、注意すべきこととしてBとV、KとQの混同がよく見られるのでしないようにとのこと。いまさらそんなことを言わんでくれ。今まで混同したことなんてないのに、本番で混同してしまいそうでないか。具体的に「Bを○○ター、Vを○○ボー、と言わないように」(読者には混同してほしくないので一部伏せ字)なんて言われると、調子が狂ってしまう。ハムにてちゃらんぽらんな通話表を使うおっさんどもにはいつも閉口しているが、こういうのもダメなのだ。もっとも、BとVは(子音として)発音の仕方がまったく違うが、KとQはほとんど同じだし、ましてや受話のほうはバリバリのカタカナ英語だ。そのせいなのか、本番でなんか間違えたような気がする。鉛筆を握る手も、かなり「疲れて」おり、力が入らず、5文字ごとのブロックの頭の位置はキープできたものの、各字の幅が一致していなかった気がする。品位点での減点も心配だ。速さも、量も、しゃべってる人の声も、カタカナ英語であることも、MDのクリアな音声であることも、とにかく部屋の条件を除けば先日の1海特とまったく同じ条件での試験なのに、ものすごく高速に聞こえた。いま3分180字のモールス受信をしろと言われても、手がついてこないだろう。この1か月半で、何かが急速に衰えた気がする。1アマ1海特との間は半年開いており、その間筆記練習はまったくしてなかったのに。やっぱり、仕事の疲れなのだろうか。

電気通信術(送話)

で、今度は送話の試験。1海特のときは工学免除組から先に順番が来たためすぐ終了したが、今回はそんな優遇措置はまったくなく、筆者はかなりあとの順番。廊下は相変わらず芋を洗うような様相だ。航空特の所持者って実は少なかったのか?1時間以上が過ぎた、16時55分ごろにようやく順番が来る。廊下でスタンバっている人が少なくなっていた。案内に従い入室しようとし、ここで受験票のお顔の照合。そして指示された席に着く。3号室は3席、ここ1号室は5席、その1号室の中の1席だ。1海特のときは不明瞭を指摘されたので、くどめに読むが、そのためリズムが崩れた気がする。緊張も大きく、「まだ半分かよ」なんて思ったりする。1海特のときは、淡々と読めたのに、今回はまったく心中が穏やかでない。しかし、試験官の講評は「パーフェクトです。」であり、なんとか大成功。多少リズムが崩れても、はっきり言うことのほうが大切なようだ。もっとも、送話がいくらパーフェクトでも受話がダメなら電気通信術としては不合格なので、心中は依然穏やかでない。

まとめ

以上、法規はやった分だけ報われる科目、英語は英会話の試験形式に適応し、時間をうまく使うことが大切、電気通信術はまさに精神的な戦いだというのが講評だ。試験結果は8月末発送予定らしい。やるだけのことはやった。あとは、航空業界のこと、自分の業界のこと、どうすれば事故を防げるか、など考え込みながら家路につく。法規や英語はたぶん大丈夫なのだろうが、合格することよりもっと大切なことが、この「航空無線通信士」にエッセンスとして詰まってるのではないか、と。