技研公開
NHKこと日本放送協会さんの技術展示会に足を運ぶのは数年ぶり。まずは上の方の階に行って、職員食堂で昼食。そして、福島第一原発を30km以上の距離からとらえた高感度カメラの映像をチェック。CCDでなく、スーパーHARPの撮像管を使用したカメラです。そのほか、無人のEM-CCD (Electron Multiplying CCD)カメラというのが原発の状況を撮影しているそうですが、EM-CCDがどんなCCDかは聞きそびれました。
このほかにも、安否情報の伝送装置など、東日本大震災の報道に関する取り組みが1階で紹介されていました。
あとは、VHF-Low帯マルチメディア放送の受信機用アンテナや、SFNの干渉除去技術など、地味だけど今後結構重要になりそうな技術も紹介されていました。
スーパーハイビジョンですが、数年前に見たどでかいカメラのほかに、CMOS単板式の小型のものも展示されていました。CCUを伴いますが、カメラヘッドはかなり小型で、現場で引き回せる程度のサイズに落ち着いていましたね。35mmのスチルカメラ用レンズを使用するという点も、汎用性の観点から重要に思えます。撮像素子が独自開発の模様です。
あとは、Webサイト上のNHKニュースを簡易な日本語にリライトするデモ(日本語検定の等級を基準にしたそう)があり、「正しい日本語のお手本」を期待されているNHKならではの研究って感じでしたね。映像とか音声とか伝送だけが放送じゃないということを改めて実感しました。スタジオカメラ(と同機能のハンディカメラ)とCCU間の伝送をワイヤレスにしたものも展示されてました。実際に紅白歌合戦の放送で使われたそうですが、三脚にアンテナやら大量の電池やらがびっしりと装着されてましたね。
照明関係では、LED式のライトが展示されていました。横浜局のニューススタジオで試験的に運用されているとのことですが、ニュース放送という限定的な用途であることと、カメラシステムでの補正ができるからこそ成立している運用とのことで、今テレビ局や劇場などで運用されている照明を今すぐ全部置き換え可能なわけではないそうです。発熱が少なく、出演者の体の負担も少ないので、早いうちに小劇場向けバージョンが実用化されればいいなと思っていたりします。
と、ほかにもいろんな展示を見ましたが、現在直接放送の世界に関わっていない微妙な立場の筆者としては、2年に1回くらいの割合で行くべきかなという内容ですかね。