北京蝶々第15回公演「あなたの部品 リライト」
昼の部を観劇。小さなビル4Fの現場に行って、開演1時間前に入場整理券が配布されることを知り、居場所もないので1階に下りてビルの前で時間をつぶし、そして整理券配布の時刻ぴったりにエレベータで再び4Fに戻ったところ、なんと階段に列ができている!そんな待ちスペースがあるなんて知らなんだ!10人弱の並び順になってしまった筆者だったけど、付与された整理番号はなんと2番!何の計らいでそうなったかはまったく不明。
会場は「劇場」でなく、多目的アトリエといった様相で、三方の前列にパイプいす、後列にイントレと座布団で作った席を設置。だいたい40人くらいのキャパで、フロアの中心で演技がなされ、出番がない役者は袖にはけることはせず(袖自体がない)、後方でポーズを取って静止してました。
芝居の内容は、義肢製作所みたいなところを訪れる様々な人間模様を描いた1時間半の公演。果たして義足とは「自分の」足なのか?男と女が支え合う、「愛しあう」とはどういうことなのか?果たして男女の関係とは単なるヒモなのか「杖」なのか、それとも…?自分の「顔」って何なのか?
いま健常者である自分にとっては一見無関係な話題ですが、いつ当事者になるかもわからない。そして、生まれも育ちも、抱えてきた事情も異なる異性と幸いにも「愛しあえる」ことになったとき、どうやって「愛しあって」いくべきか。自分の、相手の「体」は、どこまでがその人の「体」なのか?ぶっちゃけ、どきっとさせられるシーンもありましたが、この日記を書いている今も、そういったことを深く考えさせられています。
今回の出演者は、皆さんが名優で熱演をされたと思いますが、まず印象的だったのは、出番が少ないながらも義肢製作所の所長(?)の同僚で彼女(?)を演じた岡安慶子。コートを脱いで所長役の酒巻誉洋に抱きついたりする仕草が特に秀逸でした。そして、別の所員を演じた田渕彰展も、体を張って人間の真実に精一杯向かいあう様を演じていたと思います。あのシーンは、笑うところであるとともに、人として向き合わなくてはいけない深いテーマが込められていたと思います。
ひとりで見てきましたが、なるべくなら異性の友人と見るとよさげな感じでしたね。
終演後は、岡安さんに軽くご挨拶。半目開きで見ると、なんとなく「赤羽橋」なテイストを感じるような、特製のお写真をいただきました。この劇団は赤羽橋でなくて野方に事務所があるそうですが、今回のような内容は、赤羽橋のあそこでは絶対扱わなさそうな題材。こうした作品に出会えて本当によかったですし、またの機会にじっくり語りたいと思った次第です。