空間ゼリーvol. 11「暗ポップ」
空間ゼリープロデュースの芝居は過去2作(UNO:Rと猫目倶楽部2)を見たことがありますが、空間ゼリーが自主的に制作する「本公演」の観劇は初めてです。今日は3公演上演されるのですが、その全部のチケットがあるので、メロン記念日がまだイベントのため居残っている札幌からトンボ帰り。ぶっちゃけ、重たい内容で、1日3回見るような内容ではないですが、「本公演」だけあって、濃く堅実な作りでした。
このお話の要旨を金子みすゞ的に言えば、「みんなちがって、みんないい」ですかね。
人間のメンタルな障害って、一様的にとらえていいものじゃないし、治るかどうかというよりは、治さなくてもいい部分もあるのかもしれません。人間は多種多様です。普通の人間だとか、「おかしい」人間だとか、簡単にくくってはいけないんだと思います。「本来のちーちゃん」って何なの?それをだれが取り戻してくれるの、それは人それぞれなんですね。
その「ちーちゃん」を演じた、のっちこと能登有沙をはじめとするハロプロエッグの3人が、こうした題材に向き合えたことは、とっても意義があると思います。その中でも、今日の千秋楽をもって、進学のため引退するシーマンこと澤田由梨を見て、なおさら人間の多様性というのを考えさせられました。カーテンコールのあと卒業式がありましたが、飾らない内容。ひとりで舞台に立ったはいいが、「センターをとったことがない」ということで、何をすればいいか迷ったところは、もう、個性のうちなんですよね。みーここと仙石みなみも、かつて出ていたラジオ番組ではカミカミだったのですが、今回は自分の持ち味を残しつつしっかり成果を出していたように思います。
学校を中退(全員じゃないかもしれんが)したりなんかして10年近くやってるメロン記念日みたいな人もいれば、逆に正式な芸能人になれずに学問への専念を決めるシーマンみたいな人もいる。人生いろいろ。仮にセンターをとらせてもらっていれば、辞めていなかったのかもしれないですね。エッグの厳しさを生で感じた現場でした。
あとは、ダブル主役の斎藤ナツ子(空間ゼリー看板女優)と小川麻琴(モーニング娘。時代は三枚目キャラ)の手堅い芝居が印象的でした。当たり前のことかもしれないんですが、「素」を感じさせないどころか、それが「素」であるような感じ。
1回目公演のあと、主宰のつぼふみ司会によるアフタートークショーがあったのですが、そっちは和やかムード。ハロプロエッグが相当お好きなのか、エッグの3人だけでなく、他の女性陣もあわせて「ハロプロエッグの5人でーす!」と紹介。かなーり底なしに稽古が続いたとのことですが、それは芝居にちゃんと現れてると思います。しかしまぁ、のっちの「純粋じゃなきゃ2次元に恋できません!」発言には、改めて彼女の濃さを感じたというか、人間が多種多様いるように、アイドルにも多種多様があるんだなと納得した次第なのでした。
のっちも、みーこも、もう「エッグ」の肩書きを外してあげましょうよ。
今日の3公演だけでなく、昨日以前含む全公演、ほぼ満席だったようです。今日はメロン記念日のためにプロデュースしたUNO:R同様、敷地内の屋外で空間ゼリーの大物販大会が繰り広げられました。つぼふみが「緑の4人が(ここ東京に)いないから」晴れとか、メロン記念日を知っていて、かつ「雨女」であることを知らないとどうにも笑えないネタをかましたのが気になったのですが、千秋楽公演の客席の反応からすると、ほとんどの観客はUNO:Rも猫目倶楽部2も見に来てるようだったので、あながちKYな発言ではなかったのかもしれません。ちなみに「緑の4人」ことメロン記念日のいた札幌はいい天気だったのだけどね…。
UNO:Rは、メロンありきで作った芝居。こちらは、空間ゼリーがやりたいようにやった芝居。その差が見てとれました。