こちらは職人、ただいま交信中!

いきていく物語です。

気が向いたときに、思ってることを書いていきます。
相互に「交信」をする場です。コメントおよびトラックバック歓迎です。
主に鉄道と飛行機を利用する旅人です。
2008年にoneworld Sapphire、2016年にStar Alliance Goldのステイタスを取得。これらを有効に活用した空の旅についても発信していきます。
日本国内の無線従事者資格や、関連資格の多くを取得しており、その受験記も蓄積しています。
内容には誤りがないよう努めますが、誤りがないことの保証はいたしかねます。

日記

某公共放送協会の技研公開を見に行く。多くの客は成城学園前と渋谷を結ぶバスなどで来るのだろうが、小生は去年同様、祖師ヶ谷大蔵駅から勝手にさわやかウォーキングを敢行。復路もこの経路を歩いたわけだが、あとは展示内容について箇条書き的に。なお、いずれ写真を入れて小生のWeb内「放送だらだらコラム」に掲載するつもりである。

入り口

有名な「イ」の字の撮像及び投影や、撮像管・マイク今昔の展示。

折りたたみ式メッシュパラボラアンテナ

下記URLで見ての通りの、FPU用アンテナのお椀。従来の厳密な放物面状の金属お椀を、金属(ステンレスだったと思うがうろ覚え)の網による傘に置き換えるというもの。従来の半分の質量である、1.6kg程度だそうで、しかも折りたたみができるので、緊急の中継における設営が楽になるという利点を期待したもの。風圧の低減も期待できる。気になる利得であるが、展示品(リンク先の写真と同じもの)では従来品よりわずか0.3dBの悪化にとどまっており、最悪空中線電力で利得を挽回すればいい程度の値。しかし、傘の骨の数をこれより減らすと、利得ががくっと悪化することが実験でわかっているという。
http://www.nhk.or.jp/strl/open2005/tenji/t04.html

有線・無線ネットワークを利用した番組制作システム

放送局内の回線を、IP化し、物理的な冗長度を小さくしようという研究。PCの端末で所望の接続先と接続できるような端末を展示してたが、一般人にはメリットは見えにくいかも。また、映像データの「経路選択」の研究もされており、デモでは4.5Mbps(多少うろ覚え)程度の映像を無線LANで転送してた。だが決して、これは無線LANを使って映像を伝送するための研究でなく、あくまで物理層より上の層の機能についての研究である。FPUが使えない場所で活躍するのだろうが、これ自体はFPUの代替でなく、あくまでルーティングの研究のようだ。目標は100Mbps。

http://www.nhk.or.jp/strl/open2005/tenji/t05.html

スーパーハイビジョン

とりあえず技術的なところは割愛。画素が増えた、というよりはまるで、視野が広がったという感じ。

http://www.nhk.or.jp/strl/open2005/tenji/t08.html

携帯端末向け地上デジタル放送

いわゆる1セグメントDTVである。協会は総合、教育放送とも通常の固定型受信機用と同じプログラムをサイマル放送するらしい。ただ、データ放送の内容が携帯専用に作り直しとのこと。なお、従来の固定型受信機は1セグメント放送の受信に対応してないとのこと。最近のテレビ放送、テロップがやたら小さくて見にくいことが多いので、番組制作側はそれなりにこれから意識するのではないか。愛・地球博でも6月からデモ展示されるという、実験放送(厳密には放送ではないんだろうが)の内容を、実機で体験。画面上半分に映像が映っていて、下半分がデータ放送なのだが、体験内容はデータ放送の閲覧操作。携帯用Webサイトと、操作した感じは一緒。アンカーをクリックすると、一瞬「データ取得中」と表示され待たされるが、固定型受信機のデータ放送はおろか、通常のパケット通信による携帯サイト(筆者はWINユーザ)よりも早いと思う。

http://www.nhk.or.jp/strl/open2005/tenji/t09.html

超広帯域マイクロホン

まじでいい音です!普段聴いてる音楽がいかに、少ない情報だけを耳にしてるのかを、実感。

http://www.nhk.or.jp/strl/open2005/tenji/t18.html

OFDM波の到来方向推定技術

早い話FPUの受信アンテナが送信アンテナを追尾する技術。2列のアンテナで受信し、信号点ごとの信号強度の差より、位相差を検出すなわち方向を検出するという、ある意味だれもが思いつきそうな方式だが、いろいろ補正をしてるようで、けっこういい感じに追尾してます。

http://www.nhk.or.jp/strl/open2005/tenji/t31.html

ハイビジョン緊急パック

中継車が入れない場所からも中継ができる、HDTV信号の(正確にはHD SDI信号の)送信機。見通しの悪い場所からはOFDMで、見通しのいい場合はQAMでと、変調方式が切り替え可能。もしかして、某小和田駅からの某番組の中継にはこれを使ったのか?空中線電力は0.2Wだったか0.2mWだったか、メモを取らなかったのでうろ覚え。電磁ホーンを使えば50km飛ぶとのこと。

http://www.nhk.or.jp/strl/open2005/tenji/t43.html

総論

1セグメント放送の足音が近づきつつある中、観客の注目度が高かったのは、業界関係者として期待できる。伝送系の技術も着実に進歩しているようだ。去年も書いたが、OFDMのことをもっと予習してこないと、ちゃんとした質問はできんな。上には書かなかったが、マルチパスのOFDM波を等化する研究があった。これは時間領域でずれた波を周波数領域にFFTで変換したあと等化する。時間領域のまま等化しようとすると、大規模なトランスバーサルフィルタが必要になり、ハードウェアが複雑になるからということだ。この研究の等化器の効果は、OFDMのガードバンド外の波の影響をキャンセルすることなのだが、この「ガードバンド」を小生が理解できていないのが歯がゆいのだ。いくら受信料を払った客とはいえ、質問者として素直に恥ずかしい。1陸技の免許も腐ってしまう。この手の技術者を目指す人間として、勉強することを誓う。

あと、上には書かなかったが、有料コンテンツへの課金システムの研究(WOWOWが関係してるようだが)もやってるようだ。協会の使命は、国民に平等にあまねく情報や娯楽を紹介することだ。こうした協会のあり方については賛否両論あるだろうが、個人的には疑問だ。